今回はトレンド系テクニカル指標のMACDについて。
MACDは売買サインが視覚的に分かりやすいため、初心者にも大人気の指標です。
簡単で分かりやすいので使いやすいのですが、簡単だからこそ理解したつもりになって誤解したまま使っている人も多数見受けられます。
MACDで複数発見できる売買シグナルの意味やダイバージェンスがしっかり理解できていないのに機械的にトレードしていてはいつまでもFXトレードで勝てるようにはなりません。
相場状況に応じたMACDの使い方をマスターし、勝ち組トレーダーに近付いてください!
この記事を読むとどうなるか
- MACDを正しく使えるようになる
- エントリーや利確のタイミングを複数持てるようになる
- 相場状況に応じたMACDの使い方が分かる
MACDとは何か
MACDは米国のジェラルド・アペルが開発したテクニカル手法で、Moving Average Convergence Divergenceの略です。
日本語では「移動平均・収束・かい離」と訳せますが、一般的には「マックディー」と呼ばれています。
このMACDは2本の指数平滑移動平均線を使用するトレンド系のテクニカル指標であり、トレンドを把握するために開発されました。
MACDの特徴
MACDはトレンド系のテクニカル指標であり、トレンドを把握するための指標という点で移動平均線に非常に近いテクニカル指標です。
では、MACDならではの特徴は何でしょうか?
MACDの大きな特徴として、移動平均線より売買サインが早く点灯するという点があります。
MACDを構成する移動平均線は、単純移動平均線(SMA)ではなく、指数平滑移動平均線(EMA)です。
指数平滑移動平均線(EMA)は過去の終値を平等に平均化する単純移動平均線(SMA)と違い、直近の終値を高く評価して平均化します。
直近価格への反応スピードが速くなりますので、トレンドの発生を早く捉えることができます。
MACD=短期EMA-中期EMA
MACDラインは、2つの移動平均線の差を計算したものになります。
つまり、短期移動平均線が中期移動平均線をゴールデンクロスで上抜けた時に、2つの移動平均線の差が大きければ大きい程、MACDラインはゼロラインから上に離れていきます。
逆に、短期移動平均線が中期移動平均線をデッドクロスで下に抜けた時には、今度はMACDラインはゼロラインから下に離れていきます。
ゼロラインを基準に2つの移動平均線の乖離が一目瞭然になるわけです。
もっと簡単に言い換えると、MACDラインとゼロラインの交差は、短期EMAと中期EMAのゴールデンクロスとデッドクロスを示していると言えますね。
このように、インディケーターはそのパラメーターが何を示しているのかを知ることが重要です。
MACDが2つの移動平均線の差を示していることが分かれば、MACDとはそもそもゴールデンクロスとデッドクロスを基本にしたテクニカル指標であることが分かります。
シグナルライン
MACDラインは2つのEMAの差で求めることは既に説明しましたが、MACDの構成要素にはもう1つシグナルラインというものがあります。
シグナルラインは、MACDを移動平均させたラインになります。
つまり、価格のトレンドを示したものが移動平均線であるのに対し、MACDトレンドを示したものがシグナルラインになります。
なぜMACD自体のトレンドなんて知る必要があるの?
そう思われた方も多いと思います。
MACDを平均化したシグナルラインを使う意味は、ゼロラインとの交差よりも更に早くトレンドの発生を捉えるためです。
例えば、MACDラインがゼロラインより下で推移している時、基本的には下落トレンドを示していることになりますが、MACDの平均=シグナルラインをMACDラインが上抜け=ゴールデンクロスすれば、トレンドの転換を示唆していることになります。
MACDラインがゼロラインを上抜けてゴールデンクロスする可能性の予兆を示しているのが、MACDラインとシグナルラインの交差になります。
少し難しい話になりましたが、シグナルラインを使うことで、より早くトレンド転換の予兆を捉えることが可能になるわけです。
MACDの売買シグナル
これまでMACDの意味や考え方について説明してきましたが、実際の売買でどう使うのかを簡単にまとめます。
買いシグナルであれば、
- MACDラインがシグナルラインを上抜ける
- MACDラインがゼロラインを上抜ける
売りシグナルであれば、
- MACDラインがシグナルラインを下抜ける
- MACDラインがゼロラインを下抜ける
というように、二段階の売買シグナルに基づくトレード戦略が可能になります。
二段階のシグナルを上手く使うことで、買い増しや売り増しによる利益の増加を見込めることになります。
MACDを利用したエントリー
MACDの売買シグナルは2段階で点灯しますが、より具体的には、最初のシグナルでエントリーし、2回目のシグナルで積み増しエントリーをすることが一般的です。
ポジションを積み増ししていき、逆トレンドのシグナルが出たら利確するイメージを持ちます。
基本的には上図のようなイメージでトレードすれば良いのですが、MACDはトレンド系のテクニカル指標であるため、トレンドを意識したトレードが必要となります。
例えば、トレンドレスな揉み合い相場でも上図のような売買シグナルに基づいたトレードができるかと言えば、そうではありません。
明らかに揉み合い相場だと分かる局面でMACDの売買シグナルに従った機械的なトレードをしてしまうと、簡単にダマシに引っかかることになります。
では、揉み合い相場ではMACDは使えないのでしょうか?
揉み合い相場でMACDをどう使うか
MACDは移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスに比べて売買サインが早く出ることが特徴であるため、売買サインがダマシになってしまう確率は当然上がります。
では、揉み合い等のダマシが頻発する相場でMACDはどう使えば良いのでしょうか。
MACDはトレンド系のテクニカル指標であり、トレンドを判断するために有効である、という基本に立ち返って考えてみましょう。
揉み合い相場はMACDのトレンド自体に注目します。
つまり、MACDがゼロラインより上で推移していれば上昇トレンド、下で推移していれば下降トレンドと判断し、それぞれ買い場を探すのか売り場を探すのかという判断に使います。
MACD自体のトレンドが上昇トレンドであると判断したら、サポートラインや移動平均線のサポートを狙って買ってみる、という使い方をします。
このように、MACDがどういうテクニカル指標なのかを理解することが重要です。
どんな相場でもMACDラインがゼロラインを上抜けたから買うといった機械的なトレードでは相場で生き残ることは不可能です。
しっかりとテクニカル指標の意味を理解していれば、インディケーターはトレードの強い味方になってくれます。
ダイバージェンスで利確タイミングを計る
MACDラインに基づくトレードでは、ゴールデンクロスやデッドクロスでのエントリーに始まり、逆シグナルが出たら利確するというのが基本でした。
MACDではもう一つ、ダイバージェンスの発生も利確の目安となります。
ダイバージェンスとは、日本語では逆行現象と呼ばれる現象です。
実際の値動きは高値(安値)を更新しているのに、MACDは高値(安値)を更新していない等、価格と指標が逆行することを指します。
このダイバージェンスが発生すると、相場がこれまでのトレンドに懐疑的になります。
上昇トレンドであれば、これまでと同じ勢いで相場が上昇を続けるのか一旦懐疑的になり、相場の勢いが弱まったりトレンドが転換することを示唆することになります。
ダイバージェンスが発生しただけでトレンドが転換すると決めつけるのは早いため、新規のポジションを作ることは完全な逆張りとなります。
そのため、ダイバージェンスの発生を理由に新規エントリーをすることはオススメできませんが、既にポジションを持っている場合は利確をし、確実に利益を手元に残すべきでしょう。
まとめ
MACDは王道中の王道とも言えるテクニカル指標ですが、どうしても機械的なトレードに頼ってしまう人が多いです。
MACDはトレンドを示す指標であり、ゴールデンクロスとデッドクロスを基本としている指標であることが理解できていれば、相場に応じた使い方ができるはずです。
トレンドの序盤でエントリーをする時や、トレンドに乗じてポジションを積み増す時、揉み合い相場での短期トレンドを把握する時等、MACDは様々な使い方ができる便利な指標です。
MACDの特徴をしっかり理解し、トレードの強い味方にして下さい!